EAP(Employee Assistance Program)はアメリカで発展した職場のメンタルヘルスサービスで「従業員支援プログラム」と訳され、組織や個人における生産性に影響をもたらす課題の解決を支援し、組織と個人の健康保持増進をすることを目的としています。
元々、アルコール依存などを抱える従業員とその家族を支援した活動に端を発し、現在は、企業に対するメンタルヘルス全般や家庭問題、法律の悩みなど、支援の対象範囲は広がりを見せています。
国際EAP学会(EAPA)はEAPの中心となる技術(コアテクノロジー)について以下の8つを挙げています。
1.組織のリーダー(管理職、組合員、人事)等への問題を抱える社員の管理、職場環境の向上、社員のパフォーマンスの向上に関するコンサルテーション、トレーニング、援助。
および社員とその家族へのEAPサービスに関する啓蒙活動。
2.個人的な問題によって社員のパフォーマンスが落ちないように、社員への秘密厳守で迅速な問題発見/アセスメント・サービスの提供。
3.パフォーマンスに影響を与えている個人的な問題を持つ社員へ建設的コンフロンテーション、動機づけ、短期介入的アプローチを通して、個人的な問題とパフォーマンス問題の関係に気付かせること。
4.社員を医学的診断、治療、援助のための内部または外部機関にリファーし、ケースをモニターし、フォローアップを行うこと。
5.治療等のサービスのプロバイダーとの効果的な関係を確立、維持するための組織へのコンサルテーション、およびプロバイダー契約の管理および運営。
6.組織にコンサルテーションを行って、アルコール問題、物質乱用、精神的、心理的障害などの医学的、行動的問題に対する治療を医療保険の中に含み、社員が利用するように働きかけること。
7.組織や個人のパフォーマンスへのEAPの効果を確認すること。
8.EAPサービスの効果評価 (日本EAP協会ホームページより引用)
上記のように、EAPは組織リーダーへの教育、コンサルテーション、外部資源へのリファー、メンタルヘルス問題への組織的取り組みを行うなど、様々な活動を通じて多面的に組織や従業員を支援しています。
引用: 日本EAP協会 ホームページ http://eapaj.umin.ac.jp/ 2018年11月1日閲覧
筆者:相談センター 臨床心理士・産業カウンセラー