日本では、戦後の産業・経済の発展による労働環境の構造的変化に伴って職業性疾患が増加したことに対応するために、労働者の健康対策がすすめられてきました。
当初の健康対策は、疾患に至った労働者の治療に焦点がおかれていましたが、生活習慣やストレスが労働者の心身の健康に影響を及ぼすことが示されるようになり、予防医学的な観点に注目が集まるようになりました。職場における予防医学的なメンタルヘルスケア対策として、「3つの予防」があります。
各段階での取り組みは以下の通りです。
1.一次予防:メンタルヘルス不調の未然防止
(社員によるセルフケア、管理監督者によるラインケア研修、ストレスチェック、組織に向けてのコンサルテーション、職場環境改善、ハラスメント窓口など)
2.二次予防:メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対処
(定期健康診断、相談窓口(電話相談、対面カウンセリング、メール・Web相談)、定期健康診断の問診、長時間労働者の面接相談など)
3.三次予防:メンタルヘルス不調者の職場復帰の支援。休職の長期化予防、復帰後の職場再適応のために必要な働きかけなどを行う(休職、復職支援など)
産業現場では、労働契約に伴い、労働者が安全で健康に働くことが出来るよう、職場が必要な配慮を行わなくてはいけない「安全配慮義務」や「リスクマネジメント」が注目されており、予防の視点がより重視されています。
参考:
厚生労働省(2006).労働者の心の健康の保持増進のための指針
厚生労働省(2012).平成24年労働者健康状況調査
厚生労働省 職場のあんぜんサイト nzeninfo.mhlw.go.jp 2018年10月14日閲覧
筆者:
相談センター 臨床心理士・産業カウンセラー