カナダの生理学者セリエ(Selye,H.)は、多様なストレッサーによって起こる身体的な非特異的反応を汎適応症候群と定義しました。ストレッサーとはストレス反応を引き起こす刺激のことです。汎適応症候群は次の3段階で進むとされています。
- 警告反応期
ストレッサーが加えられた直後の時期で、ストレッサーに対する警告を発して、ストレスに耐えるために内部環境を急速に準備する緊急反応の時期です。闘争・逃走反応とも呼ばれています。最初に抵抗力が低下するショック相を経て、抵抗力が高まる抗ショック相へと移行します。ショック相では体温低下、血圧低下、血糖値の低下、筋緊張の弛緩などの症状が見られます。抗ショック相では抵抗力が強まり、ストレッサーへの適応が本格化し始めます。
- 抵抗期
ストレッサーに対し活動性を高めてバランスを保っている状態です。心身の活動が活発になるため、休息とのバランスが崩れやすくなります。症状が治まり、抵抗力が増して、一見、正常な機能を取り戻したように見えますが、ストレスに抵抗し続けるためにはエネルギーが必要なので、そのエネルギーを消費し過ぎて枯渇すると「疲弊期」に移行してしまいます。
- 疲弊期
長時間継続するストレッサーに心身が対抗できなくなり、抵抗力が衰え、うつ病などの病気になる時期です。警告反応期のショック相に見られるような症状や、不安や抑うつといった精神症状、胃潰瘍などの消化器障害などの身体症状も引き起こします。
参考:
文部科学省(http://www.mext.go.jp)
筆者:
相談センター 臨床心理士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント