厚労省では、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(平成28年)を作成しています。このガイドラインは、事業場が、がん、脳卒中などの疾病を抱える方々に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするため、事業場における取組などをまとめたものです。
そのなかでは、それらの取組について、健康経営5 やワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティ推進といった観点からも推進される一方、治療と職業生活の両立支援の取組状況は様々であり、支援方法や産業保健スタッフ・医療機関との連携について悩む担当者も少なくないことから、両立支援に取り組む事業者に対する支援や医療機関等における両立支援対策の強化も必要な状況にあることが述べられています。
また、両立支援への取り組みは、労働者の健康確保だけでなく、継続的な人材の確保、労働者の安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上、健康経営の実現、多様な人材の活用による組織や事業の活性化、組織としての社会的責任の実現、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現といった意義もあるとし、その重要性を指摘しています。
治療と職業生活の両立は、個々の疾病の症状、診療方針、従業員の考えなどが様々であり、それぞれの状況に則した両立プランの作成が求められます。就業規則の整備、両立支援に必要な疾病の理解も必要となるため、管理する上司、サポートする同僚など従業員に対する教育、研修が必要になります。
参考:厚生労働省(2016)「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html
筆者:産業カウンセラー