厚生労働省によると、メンター制度とは豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティ)に対して行う個別支援活動を指し、その役割は、キャリア形成上の課題解決を援助して個人の成長を支えるとともに、職場内での悩みや問題解決をサポートすることとされています。
メンター制度の最大の特徴は、「ななめの関係」ともいわれるメンター・メンティの関係性です。メンターはメンティの直接の上司ではない立場の先輩社員から選任するため、評価とは異なる文脈で先輩・後半間の自然な育成的関係が生まれやすく、それがメンターやメンティの成長のみならず、組織風土の醸成につながると考えられています。
導入の際は、新入社員の育成、若年層の定着支援、女性活躍推進等、メンター制度の目的をしっかりと定めておくことが重要とされています。その目的に応じた全体計画を策定し、推進チームや推進体制を整えましょう。主に人事部が中心になることが多いですが、人事部だけでなく、社内横断的な仕組みを作ることも重要とされています。
メンターとメンティのマッチング方法、メンターとメンティの対話(メンタリング)の頻度、会社への報告等をどのようにするか、運営上のルールを事前に決める必要があります。少なくとも、①メンタリングで話し合われた内容を口外しない、②メンタリング相談窓口を設ける、③メンタリングを業務の一環とするという運用ルールは決めておくと安心です。合わせて、メンターには組織における制度の目的やルールを理解が必要になるため、事前研修も用意するとよいでしょう。メンター制度の導入・運営には、事前の制度設計や準備が非常に重要といえるでしょう。
引用:
厚生労働省(2013)メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/topics/koyoukintou/2013/03/07-01.html
筆者:
相談センター 臨床心理士・産業カウンセラー