ハラスメントとは「嫌がらせ」のことをいい(三省堂大辞林)、職場のハラスメントとは、厚生労働省によると、「職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、 業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」とあります。
最近では、ハラスメントの種類は40以上と言われています。中でも相談でよく聞かれるハラスメントとして、
「パワハラ」「セクハラ」のほかに、「セカハラ」(ハラスメント被害者が二次被害を受けること)「マタハラ」(妊娠や出産、育児を機に、解雇を迫る、会社のお荷物とみなすなど)「パタハラ」(イクメンに対して社内評価を落とすなど)「リスハラ」(自主退職をさせるために仕事を与えないなど)「エイハラ」(年上社員をないがしろにしたりする)などがあります。
パワハラが起きる原因として、「平成24年職場のパワハラに関する実態調査報告書」(厚生労働省委託事業)では50%以上の人が、「コミュニケーション不足」を上げています。多様な働き方ができる時代になり、それぞれの価値観、常識、優先順位、仕事に対するスタンスなど考え方が異なることが多くなりました。古い観念から脱しきれないと、ハラスメント行為に発展しやすくなります。ハラスメントにより被害を受けた人が心身の不調に陥り、休職や離職に追い込まれることがあり、事業所としては優秀な人材を失い、企業ブランドも低下するなど大きな損失を受けてしまいます。
対策として、管理者、社員へのハラスメントに対する教育を積極的に実施したり、就業規則にハラスメントに関する罰則を規定するなどの検討もされるといいでしょう。さらに、相談窓口を設けてハラスメントの問題を早期に把握し、迅速に、適切な対応ができるように、相談・苦情の受付から、調査・対応、再発防止までマニュアル化しておくことも重要です。また被害者はもちろんのこと、加害者とされる方の心理的ケアも大切です。
参考:
厚生労働省「明るい職場応援団」
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/definition/about
「平成24年職場のパワハラに関する実態調査報告書」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000165749.pdf
筆者:
相談センター 精神保健福祉士 産業カウンセラー