日本人の5人に1人が慢性的な不眠状態にあると言われています。
睡眠障害の代表的な症状には、寝つきが悪い(入眠困難)、夜中に何度も起きてしまう(中途覚醒)、朝早く目覚める(早朝覚醒)、時間的には十分なのに熟睡感がない、などがあります。その他にも、日中に強烈な眠気が起こる「過眠症」、寝ている間に足がむずむずしてほてってしまい、よく眠れない「むずむず足症候群」、睡眠と覚醒のリズムが乱れる「概日リズム睡眠障害」などが知られています。また、「睡眠時無呼吸症候群」や、睡眠中の異常行動、異常運動なども睡眠障害の一種と言われています。
睡眠の質は、工夫することで改善できます。例えば飲酒の後は、アルコールを分解するために身体が活動状態になり、深い眠りが得られにくくなります。夜中にトイレに起きたり、喉が渇いて起きるのも、深い眠りの妨げになるため、適量を心がけたいものです。また、食事は寝る2、3時間前まで、入浴は1時間前まで済ませておくとよいでしょう。牛乳を温めて飲んだり、部屋の照明を寝る1時間前から暗めにする、オレンジがかった電球色のような暖色系の照明にするなど、自然に眠りに入りやすい工夫をしてみることも大事です。
最近では、「睡眠負債」という言葉もよく聞くようになりました。睡眠時間の不足、生活リズムの乱れなどから、睡眠が負債のように積みあがる状態のことで、うつ病などの精神疾患だけでなく、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、認知症との関わりも指摘されています。標準的な睡眠時間は、成人の場合6時間から8時間とされていますが、気になる症状が続くようであれば、医療機関への相談を考えてもよいかもしれません。(705字)
参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html
厚労省「健康づくりのための睡眠指針」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
筆者:相談センター 精神保健福祉士、社会福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント