発達障害者支援法において「発達障害」とは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。発達障害にはいくつかの種類がありますが、それぞれの障害の特徴が少しずつ重なり合っている場合が多く、どれにあたるのか障害の種類を明確に分けて診断することは難しいとされています。年齢や環境によって目立つ症状が違ってくるため、診断された時期によって診断名が異なることもあります。また、同じ人にいくつかの種類の障害がオーバーラップしていることは珍しくなく、そのため、同じ障害がある人同士でもまったく似ていないように見えることがあります。個人差がとても大きいということが発達障害の特徴といえるかもしれません。
現在の国際的診断基準のひとつであるアメリカ精神医学会の診断統計マニュアルDSMの第5版では広汎性発達障害を自閉症スペクトラム障害/自閉症スペクトラム症と表現しています。自閉症スペクトラムは広汎性発達障害とほぼ同じ概念を指し、自閉症やアスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などを含みます。スペクトラムとは「連続体」の意味で、自閉症やアスペルガー症候群などの境界線を引かず連続したひとつの障害単位とする考え方です。自閉症スペクトラムは、①社会的コミュニケーションと対人交流の質的障害、②著しい興味の限局やパターン化された行動様式、の大きく2つを特徴とします。
周囲がその人の特性を理解して、その人が日常や職場での過ごし方を工夫できるよう、その人に合った支援をすることが大事です。
参考:
発達障害情報・支援センターHP(http://www.rehab.go.jp/ddis/)
厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/)
筆者:
相談センター 臨床心理士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント