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Z世代が世界人口の32%に! 5つの世代が共存する働き方について考える
X世代、Y世代(ミレニアム世代)、Z世代 という言葉をお聞きになった方も多いかと思います。この呼称は生まれた年代の特徴で分類したもので、アメリカで生まれたものです。
X世代とは、日本でいう「バブル世代」「就職氷河期」を含む1964〜80年生まれを指します。
Y世代とは、日本でいう「ゆとり世代」を一部含む1981〜94年生まれを指します。
ミレニアム世代とも言われ、デジタルネイティブの世代を含みます
(注)デジタルネイティブとは、Marc Prenskyが2001年に出版された著書”Digital Natives, Digital Immigrants”内で定義した呼称で、幼少期からITに慣れ親しんでいる特徴があります。
Z世代とは、生まれた時からスマホやネットサービスに接し、デジタルデバイスが生活の一部になっている1995〜2012年生まれを指します。
(※各世代の時期については文献により前後します)
Z世代は、国連統計によると、2019年には世界の全人口77億人の32%を占めるようになり、Y世代と言われる「ミレニアム世代」の人口比率31.5%を上回ると分析されました。
このZ世代が社会人となり、企業によっては最大5つの世代が共存することになります。こうした企業では、世代間ギャップを埋め、従業員同士が共通点を見出せるようサポートしていくことが求められます。
世代間ギャップを埋めるには、先ずその年代の理解を深めることが大切になります。
では、Z世代には、どのような特徴があるのでしょうか。
デル株式会社が行った「Z世代のテクノロジーと就職に対するグローバルな意識調査結果」の調査結果のハイライトとして、
「まもなく労働力人口に加わるZ世代はテクノロジー ファーストの考え方を持ち、テクノロジーと、テクノロジーが働き方や生活を変革する可能性を深く理解し、企業をさらにデジタル時代へと向かわせる推進力となり得ることがわかりました。一方で、Z世代の就職は職場における5つの世代間のギャップを拡大させる可能性があります。」と表しています。
調査結果を一部ご紹介すると、
・92%は正規教育の一部としてテクノロジーを利用した経験を持つ
・テクノロジー習得度が低い年上の同僚のメンターになりたいと回答した割合が40%いる一方で、91%とほぼ全員が将来の就職に対して何らかの懸念を持っています
・オンラインではなく、同僚などから直接仕事を学びたいが88%
・同僚とのコミュニケーションで望ましい方法は、直接的な対話が33%,ショートメッセージ19%、メッセージング アプリ17%、電話 16%、メール 15%と回答
・通勤と在宅勤務比較では41%が通勤を望み、単独ではなくチームと共に働くことを希望するが41%
・61%が、ソーシャルメディアが職場で有用なツールになり得ると回答
また、消費者庁 「平成29年 消費者白書 第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状調査」による若者の傾向として、
・「モノ消費」より体験型の「コト消費」に価値を感じている割合が高い
このことは、情報化の進展によりデジタル化されたコンテンツが複製によって簡単に手に入るようになり、モノを所有することの意義が低下する、また、デジタル化されていない情報やコンテンツの価値が相対的に高まるという影響が生じたことなども考えられる。
・交際、飲食にお金をかけていると回答した割合が20歳代で45.2%と全体の29.0%を大きく上回り、人との繋がりに軸を置いた「コト消費」を重視していることが分かる。
・購入する前に機能・品質・価格等を十分に調べると回答した割合が20代で23.9%おり、検索スキルを駆使し、消費に関して堅実な一面を持つ
・「新しもの好き」と回答した割合は、女性20代で60%、男性10代後半で54.1%であり、新奇性を追求する傾向があることが窺える。
・「豊かな暮らしに最も重要なものは?」の回答について、若者世代は比較的「時間」と答えた割合が他の年齢層より高い傾向がある
こうした調査結果から皆様はどのような印象を持たれたでしょうか。
調査結果をヒントに対策を考えると、、
・ソフト面での関りを大切にし、世代間でそれぞれが特徴、スキルを活かし、得意分野において互いがメンターとなる環境つくりを推進
・根拠のない慣習や価値観の押し付けをせずに、納得のいく説明や根拠を示し、互いの価値観、考えを尊重、共有するための教育の実施
・5つの世代が共存する企業では、デジタルファースト文化の醸成を進めるために共通点を見つけられるコミュニケーション向上のサポートとして、インターンシップ、ジョブ・ローテーションプログラム等の機会の提供を行い、ソフトスキルを身に付ける
・従業員間のコミュニケーション方法は、直接的な対話を大切にし、ショートメッセージ、メッセージアプリ、電話、メールなどの使用配分を目的別に考慮する工夫を取り入れる
・プライバシーを尊重し、就業時間外の交流には配慮するなどルールの作成
などでしょうか。
今後、Z世代の就業人口が増加し、企業にとっては貴重な戦力となっていきます。
IT化が加速していく中で、Z世代のチカラを最大限に生かす職場つくりは、業績や生産性に直結するばかりか、対応を誤ると世代間のひずみやコミュニケーションの不活を招き、心理的安全性を脅かし、ハラスメント発生リスク、メンタルヘルスにも影響を及ぼします。
各世代の特徴を最大限に生かし、どの世代もイキイキ働ける職場つくりは喫緊の課題となりつつあります。
当社では、こうした世代間ギャップを埋めるコミュニケーションスキルの向上、ハラスメント研修、レジリエンス研修など、企業のご要望に応じて、研修、セミナーをご提供しています。
参考:「Z世代のテクノロジーと就職に対するグローバルな意識調査結果」https://blog.dell.com/ja-jp/zgeneration_technology/
消費者庁「平成29年 消費者白書 第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状調査」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2017/white_paper_132.html
筆者:産業カウンセラー
2021/7