こころとからだの健康
コロナ禍におけるウェルビーイングを考える
2020年から世界中でパンデミックを起こした新型コロナ感染症拡大で、就業の形や生活様式が変化してきました。
こうした変化はプラスに働くこともあれば、マイナスに働くこともあり、従業員の「ウェルビーイング」にも影響を及ぼします。
今、着目される「ウェルビーイング」という言葉が始めて使用されたのは1946年の世界保健機関(WHO)設立時です。前文の「健康」の定義を説明する際にwell-beingという言葉が使われ、普及し始めました。
米国の心理学者セリグマンは「瞬間的な幸福Happiness」と違い「持続的な幸せ」の重要性を説き、2011年に計測可能なウェルビーイング理論を構築し、5つの構成要素のイニシャルをとって「PERMAの法則」とも呼ばれています。
・ポジティブ感情(Positive Emotions)
・エンゲージメント(Engagement)
・関係性(Relationships)
・意味・意義(Meaning)
・達成(Accomplishments)
近年、日本においても働き方改革の推進やVUCA時代の到来で「ウェルビーイング」への関心が高まっています。
それでは、今後どのような点に留意し、組織としてのマネージメントやサポートを考えていけばよいのでしょうか。ヒントとなる調査結果をご紹介したいと思います。
パーソル総合研究所×慶應義塾⼤学前野隆司研究室で実施した「はたらく⼈の幸せに関する調査【続報版】結果報告書」による提言
【組織・マネジメント階層に向けて】
テレワーク実施者については、幸せ指標だけでなく不幸せ指標にも着⽬したい。
テレワーク実施者の幸せ指標は⽐較的良好であるが、不幸せ指標では良好/不良の2極化がみられる。
特に20代の若⼿で不良になりやすいため、注意を要する。また、世代や職種により不良となりやすい因⼦には特徴もあり、より個に⽬を向けたマネジメントが求められる。
個⼈が重視している幸せ/不幸せの因⼦には⼀定の共通性が⾒られ、職種や年代、
職位などによって特徴的な傾向が確認できる。しかし、個⼈が重視している因⼦の
充⾜だけがはたらく上での幸せ/不幸せの改善に重要とは⾔い難い。
職位が上がるにつれ、疲労回復やチームワークの重視度は低下する⼀⽅、20代〜30代は重視度が⾼いなど、世代・職位間には価値観ギャップが⽣じる。
また、⼀般に疲労回復や、努⼒に⾒合った報酬、評価が重視されているが、はたらく幸せ/不幸せへの影響としては⾃⼰成⻑や他者への貢献、疎外感や⾃⼰抑圧(能⼒不安)の重要度が⽐較的⾼い。重視される因⼦の充⾜だけにとらわれすぎない⼤局的なマネジメントが肝要である。
参考:パーソル総合研究所×慶應義塾⼤学前野隆司研究室で実施した「はたらく⼈の幸せに関する調査【続報版】結果報告書」
https://rc.persol-group.co.jp/news/202007150001.html
金沢工業大学心理科学研究所 ウェルビーイングのPERMAモデル
https://wwwr.kanazawait.ac.jp/wwwr/lab/lps/perma_profiler/perma_profiler.htm