こころとからだの健康
アンコンシャス・バイアスをご存じでしょうか?
皆さまは、「アンコンシャス・バイアス(無意識のバイアス)」をご存じでしょうか?
「良かれと思って」「大丈夫と思った」「コミュニケーションに問題はなかったはず」
これらは、ハラスメントの行為者から多く発せられるコメントです。
男女共同参画学協会連絡会が作成した資料「無意識のバイアス ― Unconscious Bias ― を知っていますか?」によると、
「無意識のバイアス ― Unconscious Bias ―」とは、
・誰もが潜在的に持っているバイアス(偏見)のこと
・無意識の内にきざまれた固定観念・既成概念
・対象:ジェンダー・人種・宗教・民族j・経験値、等々
・色々な判断に際して、便利なショートカットとして機能
・大学や企業では、採用や昇進人事で府の方向に働く
そこでは、3 つのカテゴリーが紹介されています。
その1 .
ステレオタイプ・スレット(Stereotype Threat):先入観が脳に刻まれた結果、本人や周囲の考え方に影響を及ぼすこと。たとえば、「女子は生まれつき数学の能力に欠ける」という先入観が女性の進路選択に影響を及ぼすこと。
その2 .
属性に基づく無意識のバイアス:ジェンダー、職業、学歴等で人々を集団に分け、各集団の代表的な特徴(たとえば、○○に強い・弱い、信用できる・できない)を想定し、そこに属するメンバーの誰もがその特徴を持つと短絡的に判断してしまうこと。身内意識とよそ者意識も、これに含まれる。
その3 .
マイクロアグレッション(些細な侮辱):日常生活において、他人に対して横柄な態度をとること。たとえば、話の最中に度々口を挟む、目の前にいる人の存在を無視する、間違えた名前で呼ぶ等。当人に自覚がなく、対象となる人への無意識のバイアスの表れ。
無意識のバイアスは、誰もが持っているものですが、その存在を自覚することによって、弊害を抑えることも可能である。
■人や組織に影響する様々なアンコンシャス・バイアス
アンコンシャス・バイアスの影響は、主に「決めつけ」や「押しつけ」の言動となってあらわれ、職場やそれ以外の人間関係にも影響を及ぼすことがあります。
職場にあふれている「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み・偏見)」に気づくこと、それが真の多様性ある職場への第一歩です。
出典:男女共同参画学協会連絡会ホームページ「無意識のバイヤスコーナー」
https://www.djrenrakukai.org/unconsciousbias/see_bias_block_bias/index.html
「無意識のバイアス – Unconscious Bias – を知っていますか?」-選ぶ側にもバイヤスがー資料:SEE BIAS and BLOCK BIAS Part1:引用ページ12
非合理な判断を引き起こす「認知バイアス」は、ハラスメント行為に発展したり、コミュニケーションの妨げ、信頼関係の構築にマイナスの影響を与えます。
さらに、いくつかの「認知バイアス」をご紹介すると
〇確証バイアス:「〇〇さんは体育会系だから多少の無理は効くな」先入観に基づいて自分に都合の良い情報を集め、先入観を補強する
⇒その情報、本当に正しいでしょうか?
〇自己奉仕バイアス:「あの交渉は自分が参加したから契約ができた」成功は自分の貢献、成果と思い込み、上手くいかないときには、部下や環境のせいと自分のコントロール外と考える
⇒手柄の横取り、責任転嫁はしていませんか
〇後知恵バイアス:「やっぱりなぁ、そもそもダメになると思っていたよ」とあたかも結果の予測が付いていたかのようにふるまう。
⇒結果が出てからなら何とでも言えます
〇単純接触効果:「出張にも一緒に行った」「毎日笑顔であいさつしてくれる」身近な人に親近感や好感を抱く効果
⇒自分本位な思い込みが過ぎるとハラスメントになるリスク
〇正常性バイアス:リスクを過小評価し「自分だけは大丈夫」と結論付けてしまうこと
⇒大きな事故につながり兼ねません。
〇ダニング=クルーガー効果:能力の低い人ほど、自分を過大評価する。能力の高い人ほど自分を過小評価する
⇒能力が低いからこそ、周囲が見えずに過大評価になってしまう。
認知バイヤスは誰にでも起きるもの。この罠に引っかからないためには、
・例え反対意見でも、人の話に耳を傾ける
・決定する前に立ち止まって考える習慣を持つ
・多様な価値観に触れる機会を持つ
・全体を俯瞰で見る
・常に「バイアス」の罠があることを意識する
などを心掛けましょう。
更に、社会的な環境の中で表現方法にも配慮が必要です。
「ポリティカル・コレクトネス Political correctness」は今や常識になりました。
性別や人種、職業や宗教などに対し公正な表現もしくは言葉を使用することです。
ネット上では略してポリコレ、PCと表現されることがあります。
「政治的公正」「政治的適正」などと訳されるため、「政治的な観点から見て正しい用語を使用する」という意味合いがあります。
表記の例を挙げると、
・障害者⇒障碍者 障がい者
病名へのポリコレの概念が適応され、
・痴呆症⇒認知症
・精神分裂病⇒統合失調症
人種差別に関するポリコレ例として
・インディアン⇒ネイティブアメリカン、ファーストネーション
・黒人(ブラック)⇒アフリカ系アメリカ人(Africa American)
職業呼称についてもポリコレの概念が適応され、
・看護婦、看護士⇒看護師
・保母さん⇒保育士
・産婆⇒助産師
・スチュワーデス⇒キャビンアテンダント、客室乗務員
・男性をイメージさせる「policeman」「fireman」の「~man」の撤廃
男女差のあった既婚未婚の表記
「Miss」「Mrs.」⇒「Ms」に統一
など例を挙げるとキリがないほど、世界中でポリコレ概念は浸透してきました。
企業にとっては、今後、多様性、女性活躍、グローバル化、雇用形態の変化等が浸透する中、ポリコレの重要性を認識し、差別や偏見の無い企業風土の醸成、教育が大切になります。