こころとからだの健康

電話相談、利用したことはありますか?

2021/10/18
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電話相談、利用したことはありますか?
~電話相談についてもっと知ってみよう~

(株)セーフティネットは、2001年にEAPの専門会社として設立しました。設立当時の日本は、自殺者数が毎年のように増加し大きな社会問題となっていました。創立者の山﨑は、「メンタル不調の予防、自殺予防の観点から、困ったとき、苦しい時に、場所を選ばず、時間も自由に援助者と繋がれる体制は作れないか?」という思いで24時間対応する電話相談室を開設しました。

近年ではインターネット、スマートフォンの普及でSNSやチャットによる相談窓口も増加していますが、弊社の相談室においては電話相談のニーズは減少せず、2020年に起きた新型コロナ感染症の拡大により、更に電話相談が求められるようになりました。

辛いとき、困ったときにいつでも、どこからでも安心して相談ができ、人の声の温もりも感じられる電話相談ですが、ご利用にあたり、その歴史や利用方法について、改めて学んで頂けたら幸いです。

電話相談の歴史は?
電話相談の歴史は古く、自殺防止活動を目的として1955年にロンドンで設立された「サマリタンズ」、1958年にロサンゼルスで設立された「自殺予防センター」が始まりです。日本におけるボランティアを含む民間福祉団体による組織の始まりは、1971年に開局した「東京いのちの電話」でした。
以後、現代のニードにそって行政、民間ともに多彩な電話相談が展開されています。

どのように運営されているでしょうか?
一般的な電話相談には、様々なタイプがあります。
専門的な訓練を受けた有資格者が対応する形態と、ボランティアなどの非専門性の人が対応する形態に分かれます。
また、ご自身で相談料を支払い相談する有償型と、フリーダイヤルなど無料で相談できる無償型に分かれます。
この専門性、非専門性、有償、無償をそれぞれに組み合わせ、4タイプの相談形態で広く普及をしてきました。
弊社の相談室は専門型であり、産業カウンセラー、公認心理士、精神保健福祉士、臨床心理士、保健師、看護士、栄養士等の有資格者が在籍し相談をお受けしています。そして、所属している企業や自治体が支払うことで、個人は無償で相談できる形態となっています。

電話相談の特徴は?
電話相談には、対面カウンセリングとは異なる特徴があります。その特徴を理解し、様々な相談形態の中からご自身の状態にあったものを選ぶことがポイントです。

電話相談の特徴をご紹介します。
1.匿名性が担保できること
相談者も受け手も匿名性を保つことで、互いに安心した雰囲気が保たれます
2.即応性、即時性が高い
相談したいときに予約の手間をかけずに相談が可能
3.時間が自由であることや、携帯電話の普及などで場所を選ばない
いつでも何処からでも相談ができます
4.密室性、類似親密性が高い
他者に聞かれずに話せることで密室性は高まり、互いの距離が近い印象を受けます
5.経済的
対面と違い交通費などの経済的負担もなく、また相談が無料で経済的です
6.相談者が主導
相談の途中で他の用事が入った時でも相談を中断することができ、予約なしでも相談が開始できます
7.一期一会になりやすい
匿名性が担保されることで、1回性が高い
8.視覚情報が欠落することで聴覚情報に頼らざるを得ない
ことばが気持ちや内容を伝える唯一の方法となるため、相談の内容によっては対面相談やオンライン相談、メール相談が向くこともあります
9.相談への敷居が低い
10.依存を招きやすい
親密性、密室性の高さや即応・即時性、経済的であること、敷居の低さから、他の相談形態に比べ、依存を招きやすいと言われています。

などが挙げられます。
対面のカウンセリングと大きな違いがあることをご理解頂けたでしょうか?

それでは、電話相談にはどのような効果があるのでしょうか。
少し紐解いていきましょう。

相談すると、、、
『驚いたとき、怖かったとき、その気持ちを口に出して誰かに聞いてもらい安心した。』このようなことは、多くの人が経験していると思います。
声に出して悩みを第三者に話し、理解してもらえることで、苦しかった思いから離れ、気持ちが落ち着くことがあります。

カウンセラーは話し手の話す内容を評価したり、否定したり、診断せずに共感して聴いてくれるため、安心感が得られます。
それだけで、「ホッとした気持ちになりました」と言われる方も居られますが、更に自分の思いや感情を伝えることで、自分自身の状態を客観的に理解することができます。
すると、自分なりの解決の方法が見つかることもあるのです。
話すことは、感情を言語化し、自分の置かれている状況を外から客観的にみることを支えてくれます。
視野が広がり、新しい発見になることもありますし、悩みによってはカウンセラーから正しい情報を得られ、社会資源に繋がることもあります。

弊社の相談室では、カウンセラーだけではなく、様々な専門家がご相談をお待ちしています。「こんなこと話しても大丈夫かな」と話す前に決めつけず、是非、ご活用いただければと思います。

参考:1)酒井経子.電話相談の歴史とその傾向.電話相談学研.6, 1994.

 

筆者:産業カウンセラー
2021/10

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