こころとからだの健康
「人とつながる」「社会とつながる」ことを今一度考えてみませんか?
あなたは困ったとき、怒りを覚える出来ごとに遭遇したとき、悩みが生じたとき、どのように対処していますか?
「誰かに相談する」ことを対処方法の一つに入れているでしょうか?
友人や同僚、先輩、上司、家族、知人や専門家に話をして解消した経験のある方は案外多いのではと思います。
一方では、悩みごとを口にすることに抵抗を感じる方もおられるかもしれません。
「こんなことを人に話しても分かってもらえないのでは。」
「批判されるのが嫌」
「どう思われるのかと心配」
「そもそも相談相手が見つからない」
「人に頼りたくない」
「弱みを見せたくない」
「家族や親しい人に心配をかけたくない」
「誰に相談したらいいのか分からない」などなど。
ある民間団体の調査「孤独死※1現状レポート(2019年5月)」によると、孤独死者の平均年齢は男女ともに61.6歳であり、孤独死者の52%は65歳未満
男女の人数比率についてはおよそ 8:2の割合で男性が圧倒的に多い傾向にあり、40代10% 50代18.6% と現役世代の男性の孤独死が多いことが分かります。
※1.孤独死とは 死亡から4日以上経過 2019年東京都監察医務院の調べによると東京23区で孤独死は152件
死因別要因は、病死が62.3%、自殺が11%、事故死が1.8%、不明24.6%でした。
死因の構成で、特筆すべきことは、自殺の占率も病死に次いで高く、孤独死者の死因の11% を占めることです。厚労省統計による死亡者の全死因に対する自殺率は1.5%前後であり、孤独死者の自殺の割合は高く、男女間での死因をみると、女性の自殺の 割合が、6ポイント高い結果です。孤独死における自殺占率は、全国平均の7倍以上となっています。(平成29年(2017)人口動態統計(確定数)の概況より)
※2.熟年離婚(同居20年以上)1985年20434件 2020年38980件
厚労省「人口動態調査」
ネットの普及で情報収集が容易になり、周囲との接触機会が減少したり、新型コロナ感染症予防により、新しい生活様式が求められる社会状況の中、孤独や孤立を感じたまま日々を過ごしておられる方もおられるのではないでしょうか?
人は、ネガティブな感情を溜め込んで我慢してしまうと不快な感情が体内にとどまり、ストレス状態が続くと、機能不全や病気の原因になることもあります。
最近の脳の研究では、不安は扁桃体という脳の領域が興奮したときに起こり、感情を口に出して言語化することで扁桃体の興奮が抑えられることが分かっています。
悩みごとを人に相談するときには「問題の解決」と「理解してもらいたい」という二つの目的がありますが、「助言を求めて話し始めたけれど、話すだけでなんだか気持ちが落ち着いてしまった」という経験をされた方もおられるのではないでしょうか。
モヤモヤした感情や怒りの感情を言語化し、口に出して話すこと。このプロセスで気持ちの整理ができたり、自分の感情に気が付くこともあります。また解決法のヒントを得られることもありますので、悩みを話す≒悩みを手放す というストレス対処法をぜひ取り入れて頂ければと思います。
ニューノーマルが求められる社会状況の中、様々な理由により、身近に相談相手の見つからない方。当相談センターは、カウンセラーが24時間いつでも準備を整えご相談をお待ちしております。
「本当は相談してみたいけれど、うまく話す自信がない」と考えている方、うまく話す必要はありません。今のあなたの状況で話せるところからお話しください。
相談室のカウンセラーは、あなたの相談に耳を傾け、心を寄せて理解に努めます。また、ご相談内容に応じて適切な機関をご案内することもできます。
相談室には保健師、看護師を含め、様々な分野の専門家がおります。
一人で悩まず、まずはお聞かせください。ご相談をお待ちしております。
参考:第4回孤独死 現状レポート
「一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会」
https://www.shougakutanki.jp/general/info/2019/report_no.4.pdf
筆者:産業カウンセラー 2021/6/14