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職場のハラスメント Part2 ~SOGIハラ、レイハラとは~
ハラスメントと言えば、これまでパワハラ、セクハラ、妊娠出産に関するハラスメントが3大ハラスメントとして広く知られてきましたが、多様性を求められる社会となり、その他のハラスメントにも注目が集まるようになりました。
今回のコラムでは、SOGIハラスメント、レイシャルハラスメントについて解説いたします。
SOGIハラスメント
SOGIハラスメントについて
厚生労働省は、2020年3月に「多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集~性的マイノリティに関する取組事例~」を公表しました。
「SOGI」(ソジ)は、性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity) の頭文字をとった略称です。この表現は、特定の性的指向や性自認の人のみを対象とす るのではなく、すべての人を含む表現です。
SOGIハラスメント例
・性的な指向や性自認を知る人が、本人の許可なく第三者に教えること。(アウティング)
・本人の性自認を認めず、トイレ仕様に関して配慮を怠ったり、本人の性自認を無視してユニフォームの着用を強制したりすること。
・性的指向や性自認を論ったり、それを理由に不当な異動や解雇をしたりする行為。
レイシャルハラスメント
レイシャルハラスメントについて
レイシャルとは、英語の「人種」を表すものですが、現在は広く皮膚の色、祖先、出身地、民族的出自、宗教的信条、国籍など多様な人種・民族的要素を含んで使われています。
労働基準法第3条には、「使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない」と明記されています。
令和4年10月に公表された在留外国人労働者数が過去最高の1,822,725人となり、外国人を雇用する事業所は298,790所でこちらも過去最高になりましたが、多くの課題が見えています。
レイシャルハラスメントとは
・特定の人種や民族、国籍を理由に差別的な扱いをしたり、暴言や侮辱をしたり、嫌がらせをすること。
・特段の合理性がないまま日本人と外国人を分けて業務を進めたり、評価をしたりすること。
・上司から部下へ行うだけでなく、部下から上司や同僚同士など色々な関係性のなかで起こる可能性がある。
レイシャルハラスメント例
令和4年8月に出入国在留管理庁が実施した、「在留外国人に対する基礎調査(令和3年度) 調査結果報告書」によると、現在の仕事の困りごとは、「給料が低い」の割合が最も高く(35.6%)、次いで「採用、配属、昇進面で日本人と比べて不利に扱われている」(12.6%)の順となっています。
「自分とは違う」という価値観で他者を貶めたり、見た目の違いを論ったりすることはハラスメント行為です。
多様性が求められ、様々な価値観の人と協働する社会となりました。無意識の偏見と言われるアンコンシャス・バイアスは、知ること、認識すること、修正することで予防が可能です。
常に相手のプライバシーを尊重し、思いやり行動を意識し、お互いが気持ちよく働ける社会を目指しましょう。
筆者:産業カウンセラー、公認心理師