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職場のメンタルヘルス ~思いやり行動を増やしましょうPart.2 上司編~

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上司の態度による部下への影響は大きいものです。
部下への思いやりと関心は、円滑なコミュニケーションの助けだけではなく、部下成長の鍵にもなります。

思いやりは忠誠心に影響?

ニューヨーク大学のジョナサン・ハイト教授らの研究によれば、部下が上司を尊敬し、その思いやりに心を動かされていると、それだけ上司への忠誠心が高くなるといいます。

反対に、ペンシルバニア大学アダム・グラント教授は、「相互依存の法則」を指摘し、部下に度を越して恥をかかせたり叱責したりすれば、自分への災いとして跳ね返ってくるといいます。(『共感力』 ハーバードビジネスレビュー編集部編)

上司の態度は部下のパフォーマンスに影響する

発せられる言葉が叱責ばかりの上司より、良い仕事、良い態度を承認し、褒めてくれる上司への信頼が高くなることは、これまで相談室に寄せられた社員の声からも実感するところです。

ミスが発生したときに、上司が自分の感情に支配され、部下の言い分や事情を確認することなく、怒りに満ちた言葉や否定的な態度で接していると、部下はどう思うでしょう。
また今後の行動にどのような影響がでるでしょう。

実際に相談室でお聞きした事例をもとに纏めてみました。
・次にミスをした際、報告することに強い躊躇いが生じる。できれば叱られることを先延ばししたい。
・余計なことをせず、言われたことだけやっていれば安全と思う。
・できるだけ上司と接する機会を減らしたい、「触らぬ神に祟りなし」
・自分の意見は控えて目立たないようにしたい。
・感情のコントロールもできない人は上司として尊敬に値しないと思う。
・困ったり悩んだときの相談相手に相応しくない。
・常に自分の価値観ばかりを優先している上司とは本音では話せない。
このような声が聞こえます。

事実、スタンフォード大学のドーティ教授は、
『恐れや不安に満ち、信頼感の欠如した環境では、人々は自分を閉ざしてしまう。神経科学によれば、人間は恐れと不安を抱くと脅威に対する反応が起動し、認知制御が悪影響を受ける。その結果、生産性と創造性が損なわれてしまう』
と言います。

「人は権力を得ると美徳を失いやすい」

カルフォルニア大学教授 ダッチャー・ケルトナー氏によると、人は権力を得ると自分の価値が上がったと勘違いし、権力の乱用をしてしまうと言います。

・人の話を途中で遮る
・声を荒げる
・侮辱する言葉を発する
・会議中にほかの仕事をする

などの行為は下位のポジションにいる人の3倍という研究結果でした。

思いやり行動をふやしましょう

部下の成長を望み、部下の信頼を得るには、対等な立場で相手を尊重することが大切です。

思いやり行動のベースとなるのは
・常に対等で公平な態度で接する
・否定的、批判的な言葉を用いず、ポジティブなメッセージを発信する
・常に感謝の気持ちを忘れない
・心情を理解しようと努める
・自分の価値観を押し付けず、相手の意見を尊重する
・自分の利益を追求せず、見返りを要求しない
・感情統制力を高め冷静でいる
・温かな態度で接し、寛大さを失わない
ことなどが挙げられます

厚生労働省は、「職場で増やそう!思いやり行動!」思いやり行動向上プログラム実施マニュアル を公表しました。
https://hp3.jp/wp-content/uploads/2019/06/05.pdf

今、注目されている「心理的安全性」の高いチームつくりには、思いやり行動は欠かせない要素です。

「思いやり行動」が組織で増えていくことで、信頼関係が生まれ、職場環境の改善に繋がります。離職率の低下や生産性の向上にも役立つでしょう。
「思いやり行動」を職場全体で実践、浸透させるためには、まず管理監督者がお手本となり、率先していくことが大切です。

 

筆者:セーフティネット産業カウンセラー、公認心理師

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