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職場のコミュニケーション Part3 ~楽しく話していますか?~

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新型コロナ感染症の感染拡大により、外出自粛、三密回避などの予防措置から、今までとは違う生活形態が求められ、コミュニケーションの減少がストレスになっているという声を耳にするようになりました。
このコミュニケーションの減少は、職場でも同様です。テレワークを導入した企業においては、更に状況は深刻で、「同僚や部下の様子が把握できない」「活気がなくなった」「生産性が低下した」「孤独を感じる」「ストレスがたまる」などのご相談も相談室に寄せられています。

そこで、比較的手軽に職場で取り入れることができる「Good&New」という取り組みをご紹介したいと思います。

「Good&New」とは

これは、アメリカの教育学者ピーター・クライン氏が考案したもので、チームビルディングやコミュニケーション活性化の取り組みとして米国の多くの企業で導入されています。

1.チームや他部署の人を3名以上10名以内のチームに分け、朝礼などの場を用いて一人ずつ順番に「Good&New」(よいこと、新しいこと)を話します。チーム編成は固定化せず、ランダムにすると良いでしょう。
2.一人の持ち時間は1分以内です。
3.発表する内容は、24時間以内にあった「よかったこと」「ハッピーなこと」「新たに発見したこと」です。
4.話し手が終了したら、聴き手は拍手で終わります。職場の環境により、拍手を手話で行うなど、声の大きさや拍手に配慮をして行いましょう。
5.チームの全員が話し終えたら終了です。
6.毎日くり返し行います。

「Good&New」の効果

こうした毎日行われる「Good&New」探し。どのような効果が期待できるのでしょうか。

1.メンバーの相互理解が深まります。仕事中には話題に上らない意外な一面が垣間見られたり、共通の趣味を持っているなどの他者理解が促進されます。
2.「良いこと捜し」が習慣化します。
もし、参加したときに少し気分が下がっていても、嬉しかったことを捜すことで気分が変わりますし、他の人が何に喜びを感じ、どのような価値観を持っているかも知ることができます。
3.「新たな発見を捜す」ことは、自分の思い込みを一旦横に置き、物事を別の角度から眺めることが習慣化します。「フレームを変える」練習になるのです。
(フレームを変える効果については、弊社HPのHRコラムの「部下の育成に心理学を応用する」シリーズPart6 でもご紹介をしていますのでお読みください)
4.コミュニケーションが活性化されます。
5.脳が活性化します。 新しいことを発見したり、嬉しいことを見つけようとアンテナを立てることで脳が活性化し、また自分の興味、関心が広がることもあり自己理解、自己発見にも繋がる可能性もあります

1オン1ミーティングやBS制度、メンターメンティ制度を実施する際、「何を話していいのか分からない」「話のきっかけが難しい」などのご相談を受けることがあります。
「Good&New」を導入することで、話題作り、他者への思い込みの修整などにご活用いただければと思います。

「Good&New」で楽しくコミュニケーションを

筆者の所属するチームでも毎日「Good&New」を行っています。
毎日のことですから、話題を捜す苦労は多少はあるのですが、実に些細な発見でも良いのです。少し例を挙げてみましょう。

◆ある日のAさん
「昨日、靴屋さんでシャーベットカラーの靴を見つけて購入しました。好きな色を身につけることで通勤のテンションが上がります」
◆ある日のBさん
「コロナ下で閉店したと思ってがっかりしていた飲食店が再開していました。さっそく家族と行きました。変わらず美味しかったので感動です」
◆ある日のCさん
「食べるのが苦手だった魚料理、昨日は実に上手に骨だけ残して食べられました。これぞ「猫またぎ」と思わず写メしました」
◆ある日のDさん
「好きな作家の作品が映画化されオスカーにノミネートされました。今週末、妻と観に行きます」
◆ある日のEさん
「初めて親不知を抜きました。根っこの大きさと深さに新たな驚きを感じました。抜歯の時に脳でギシギシ音がしてびっくりでした。今日は若干顔が腫れていますが、笑わずに対応をお願いします」
◆ある日のFさん
「昨日、初めて眉毛に白髪を発見!眉毛も白髪になるんですね。次はどこに加齢による変化があるのかと戦々恐々の毎日です。また報告します」
◆ある日のGさん
「昨日、子供が初めて四足歩行から二足歩行に進化しました。人間への進化の過程を実感してます。益々目が離せません」
◆ある日のHさん
「昨日車が納品されました。前の車が壊れてから我慢していたゴルフにようやく週末行かれます。嬉しくてワクワクしています」

思わず微笑みたくなる話題や感心する話題、抜歯に至っては「今日の電話応対は変わってあげよう」などの配慮に繋がります。
皆さまが24時間以内に経験した「Good&New」はいかがでしょうか。
周囲と共有をしてみましょう。

筆者:産業カウンセラー 公認心理師

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