両立支援

「女性活躍」Part8 ~仕事と子育ての両立~

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「女性活躍推進法」「次世代育成支援対策推進法」が成立し、子育てと仕事の両立をしている女性の活躍推進を国は後押ししようとしています。
けれども実際に子育てと仕事の両立には、課題も多く難しさを感じている人も少なくありません。

内閣府「仕事と子育て等を両立する上での困りごと」令和4年度調査

内閣府が日々の子育て対応で、「やり辛くて負担を感じていること」「変えられそうなのに変わっていないこと」について6つの場面を設定し、それぞれについて有無を訊ねた結果をまとめました。

困りごと上位は、男女ともに「地域・外出先」
個人オンライン調査では、日々の困りごとが「よくある、ときどきある」の割合は、男女合計では「地域・外出先」52.5%が最も高く、「家庭(炊事・洗濯・掃除等)」49.2%、「幼稚園・保育園・認定こども園等」46.9%(女性では56.4%)、「小学校・学童保育等」44.2%でした。

男女別では、男性より女性の方が困りごとがある割合が高く、男女ともに「地域・外出先」での困りごとのある割合が高い結果でした。

幼稚園・保育園・認定こども園等での困りごと
女性の56.4%が困っていると回答した幼稚園・保育園・認定こども園等では、園へ預けること自体の困難さや手続き、連絡の手段、おむつの扱いに関連した声が多い結果でした。

筆者が仕事と子育ての両立をしてきた中で感じた「困りごと」も記載してみましょう。

入園前
・そもそも、入所までの保活が大変であり、リサーチにも時間を要する。さらに必ず入れるか分からないため、予定が立たない不安を感じた。
・年度替わりに毎年同じような書類を提出することや、勤務先記入欄があり、会社の人事に負担をかけ申し訳ない気持ちになった。

入園後
・保育園ルールのサイズの規格が厳しく、上履き袋、お着換え袋、通園バッグ等、持ち物の多くは手作りした。全ての持ち物への記名が必要で手間暇が負担だった。
・週末の「お昼寝タオル」や、使用済みおむつ、トレーニングパンツの持ち帰り、着替えの補充で荷物が多く雨の日などはより負担を感じた。
・連絡帳が紙ベース。記載欄が多く時間がかかった。
・延長保育が予約制で、急な残業には対応できなかった。
・保護者会、保育参観、運動会、お遊戯会など平日の実施で参加できないことがあった。
・リフレッシュや私用のための土曜保育は実質、預けられなかった。
・熱発呼び出しなどの際、パートナーにはほぼ連絡がいかず、常に優先順位は母親が上だった。外せない仕事で担任にパートナーへの連絡もお願いした際、担任から否定的な言葉を投げかけられ、「母親としてのダメ出し」をされたような気持ちになったことがある。

弊社で子育て中の社員のケースでは
・ゼロ歳児、1歳児、2歳児の枠が少なく待機になったり、上の子と別々の保育園に預けることになったりと、送迎がとても負担になっている。
など切実な困りごともあります。

こうした困りごとは、今回の調査結果と重複している項目もあり、多くの母親が同様の苦労をされていることが調査から伝わってきました。

中には
・給食はおかずのみで白米を毎日持参しなくてはいけない
・下の子が生まれ育休を取得すると上の子が退所になり、復帰の際には二人分の保活が必要になった
・個人事業主なら家にいるから子育てと仕事の両立ができるだろうと言われた
・保育料金は引き落としでもおむつ処分料や給食費、その他はおつりのない現金でと言われる
・延長保育の申請が2週間前の予約制
・使用済みおむつの持ち帰り
・毎週布団の持ち帰り
などの困りごとがありました。

このような日々のちょっとした困りごとの中には、マイクロストレス(微細なストレス)が含まれており、「ジャブのように効いてくる」と言われています。
一つひとつは些細であり、日々の生活の中に埋もれてしまいがちですが、こうした要因が積もることで健康や回復力に大きな影響を及ぼすことがあります。

「多様で柔軟な働き方推進に向けた企業の取り組みに関する調査」令和5年3月報告書

内閣府男女共同参画局は、多様で柔軟な働き方推進に向けた様々な取り組みについて、企業ヒアリング調査を行いました。

ヒアリング企業の施策例
調査対象となった企業の多くが取り入れていた施策例は
・場所に囚われない働き方
・休日/休暇制度の柔軟化
・社内外の副業/兼業
でした。

例えば、働く場所の選択肢の拡充を実施し、リモート勤務とシェアオフィス活用、遠隔地採用や特別休暇の付与などがありました。

休日/休暇制度の柔軟化であれば、週休3日の選択を可能にする、子どもの年齢を問わず月間勤務時間数、時間帯や曜日の選択ができ、自己研鑽にも利用できるなどの柔軟性。
副業/兼業では、他部署も兼務できる社内ダブルジョブ、グループ内の組織でアルバイトとして参加するグループ内副業、などが挙げられました。

更に出産などでいったん退職された社員の復帰を可能にする「出戻り手形」では、退職後2年以内であれば同じ役職、条件で再就職できる制度や、自己都合退職した社員の復帰を認める「ジョブ・カムバック制度」などがあります。

今回、公表された施策は離職予防、従業員満足度向上、業務効率化/総労働時間の減少等に繋がっています。

取り組む内容は、会社規模によって違いがあると思われますが、ご自身のライフプラン、キャリアプランに合わせ、仕事と育児を継続するにあたり、何を引いて、何を足せば今よりストレスの少ない働きかたが可能になるか、ご自身でも考え組織と話し合っていくことが大切です。

子育ての困りごとを軽減するためにできること

育児は親だけで行うものと決めつけてはいませんか?
親のメンタルヘルスは思うより子どもに影響を与えることがあります。心身の両面に余裕をもち、子育てを楽しむために、時には自分たち以外の力を活用しましょう。

自治体サービス

子育てヘルパー:
産前・産後など疲れが溜まったとき、体調に自信がないときなど、ヘルパーさんの要請ができます。
自治体で制度利用の方法に違いがありますが、食事・洗濯・掃除・買い出しなどの衣食住のサポート、沐浴やおむつ替え、上の子の世話など育児に関するお手伝いもしてくれます。
自治体だけでなく民間でもサービスを提供している業者がありますから、リサーチしておくとよいでしょう。

トワイライトステイ事業:
仕事などを理由に保護者の帰宅が遅くなってしまう場合に、保育士が夜まで子どもを預かってくれるという制度です。

こども家庭庁ベビーシッター券(旧内閣府割引券):
ベビーシッターの派遣サービスを利用した際に利用料金の一部、または全部を助成する制度です。勤務する企業が承認事業主となり、勤務先から交付を受けます。お勤め先の企業がこのサービスに加入しているか確認しておきましょう。

保育園申請オンライン手続き:
マイナンバーカードを保有している子育て世帯は、保育園の入園申込や児童手当の利用申請の書類作成、申請がオンラインで可能です。

子育て支援パスポート:
国・地方自治体と企業・店舗が連携し、子どものいる家族に各種割引・優待サービスや外出サポートを提供する事業です。
パスポートの交付は居住地の役場になります。子どもの年齢が確認できる母子手帳や健康保険証を持参します。

ファミリー・サポート・センター事業:
保育施設や放課後児童クラブ等までの送迎 ・保育施設の開始前、終了後または学校の放課後、冠婚葬祭、 買い物等の外出の際の子どもの預かりなどを行う事業です。

家庭的保育(保育ママ):
保育士、看護師の資格を有する家庭的保育者が、自身の居宅において少人数を対象に3歳未満児を保育する事業です。

自費で受けるサービス

日々の生活で追い付いていない家事はありませんか?
週末にまとめてやろうと思っていても、突発的な用事が入ってしまったり、子どもの体調が悪かったり、そもそも疲れて動きたくなかったりと、予定通りに家事が進まないことも時にはあるでしょう。
そんなときには、実費になりますがこのようなサービスもあります。

家事代行サービス:
風呂洗い、換気扇、キッチン、大物洗濯、片付け、模様替えなど、家事代行サービスを活用しましょう。

保育・子育てサービス:
月額制度、入会などで子どもを預かります。民間のため自治体より料金は高額ですが、24時間、365日行っている事業所もあります。
また、おけいこ(英語、ピアノ、体操などの指導サービス)のサービスを受けられる事業所もあります。
ベビーシッター派遣事業割引券が使用できる業者もあります。

子育ては、予定通りにいかないことが多いものです。溶連菌が治ったと思ったら、翌週にはおたふく風邪に罹患したり、子ども同士のふざけ合いで、怪我をしたり、怪我をさせたと連絡が来たり……。

子どもの調子は良くても、自身やパートナーが疲れて週末の予定が狂ったり、買い出しに行かれなかったり、洗濯物が溜まったり。
そんなこんなが続くと苛立ちがつのり、そんなつもりはないのに大声で怒鳴ってしまった自分に自己嫌悪を感じてしまう。

子どもは親とは別人格。小さくとも子どもなりの価値観や意思をもっています。
思い通りに行かなくて当たり前。焦らず、腹を立てず、自分の不安に巻き込まれずに落ち着きましょう。

セルフケアを心がけ、マインドフルネスを実践しましょう。
他者や専門家に助言を求めたり、相談したりする援助希求行動を忘れずに、まずはご自身を大切にしていただければと思います。

人事ご担当者も「仕事と子育て両立支援」に向け、サービス等の情報の発信、セルフケアの啓蒙活動など行いましょう。

 

筆者:セーフティネット産業カウンセラー、公認心理師

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