両立支援
仕事と介護の両立について考える Part1
親の介護、まだ先だと思っていませんか?
親御さんの生年月日、すらすら言えますか?
病院や救急車要請の際、まず聞かれるのは、ご年齢、生年月日です。
慌ててしまい「自分の生年月日を伝えてしまった」ということがないように、しっかり記憶しておきたいものです。
病気やけがは予期せぬ時に起きるものです。
いざという時のために、知っておきたい親御さんの生活状況やケアやサポートに必要な項目についてご説明します。
あなたの親御さんの世代は何歳代でしょうか?
日本における年代別の人口に占める要介護認定者の割合は、40~64歳では0.4%、65~69歳では2.9%ですが、加齢とともに急速に高まり、80~84歳では26.4%、85歳以上では59.8%となっています。
(厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」、総務省「人口推計月報」の各2021年10月データ)
介護は自分事として意識しましょう
総務省統計局の調査によると、日本には家族の介護をしている方たちが約630万人おり、そのうち約6割が介護と仕事の両立をしています。
介護を担っている方を年齢層別でみると、男性の9割弱が50代後半で、女性は7割弱が40代です。つまり働き盛りの世代が介護を担っており、少子高齢化で、労働力人口が減少している日本にとっては、大きな課題となっていると言えるでしょう。
日頃から親とコミュニケーションを取りましょう
誰もが直面する“介護”への事前の備えとして、“親が65歳(介護保険証が届きます)になった”“あなたが介護保険料を納付し始める40歳になった”“親元から遠く離れて生活するようになった”ときなどのタイミングで、介護について親と話し合ったり、親の常態を把握しておきましょう。
親とのコミュニケーションを取る際の聴き取りポイントはさまざまですが、先ずは、いざという時のために慌てないための3つのポイントを押さえてお伝えしたいと思います。ぜひお役立てください。
いざという時のための3つのポイント
①医療面の情報確認
1. 健康保険証、介護保険証、診察券の格納場所を確認しましょう
2. 今までの既往歴
・病名、罹った時期、手術、輸血、感染性のある病気などの聞き取りは、入院の
際に必要な大事な情報になります
・アレルギーがあれば確認しましょう
3. 現在利用している医療機関
・行きつけの病院場所、診療科、主治医名、診断名など把握しましょう
・多くの人が年齢と共に受診している診療科が増えていきますので、注意が必要です
4. 服薬を確認しておきましょう
・お薬手帳はありますか?収納場所は共有しましょう
・一緒に服用できない薬もあります。新しい治療の際には必ず医者に伝えます
②行動面を確認
1. 食事のとり方(朝昼夜) 入れ歯の有無
2. 睡眠(起床時間、就寝時間)
3. 耳の聞こえ方(補聴器の有無)
4. トイレ(自立、失禁、おむつ着用)
5. 目の見え方(老眼鏡の有無)
6. 歩行(杖の有無)
7. 物忘れ(片付け、掃除、約束、身支度)
8. その他気が付いたこと
③親の心理的側面も含めたサポートをするための大切な情報の確認
1. 親の趣味や習い事(活動頻度 毎週/水曜 など)
2. 好きな食べ物 行きつけのお店(駅前の長寿庵に週末はよく行く など)
3. 近所の友人や地域の活動(消防団、マンションの理事、老人会など)
4.あなた以外で安否確認できる人の存在(民生委員、牛乳・乳酸飲料の配達員など)
3.主な収入面や経済状況など
が挙げられます。
このように上記に示した親の常態の把握は、日頃のコミュニケーションから聴き取り、メモに残しておいたり、他の兄弟や親族がいれば共有をしておきましょう。
もし、あなたの親御さんが遠方におられ、コミュニケーションの機会が少ない方は、離れていても、日頃から“気にかけている”ことを伝え、“自分自身の安心のため”に知っておきたい情報として、“共有してほしいとお願い”し、話し合う機会を持ちましょう。
新型コロナ感染症の拡大により、高齢者のリスクも高まっています。
また感染予防の観点からも、感染拡大前に比べ親御さんに会いに行けない人も多く見られます。対面での対話が難しくとも、電話やメール、SNSなどで今まで以上につながりを大切にし、健康を気遣いましょう。
筆者:公認心理師 産業カウンセラー