こころとからだの健康
セルフケア ~今年も汗をかく季節になってきました~
皆さまは「汗をかく」というフレーズからどのようなイメージをされますか?
「服が張り付いてベトベトして嫌だな」
「運動でいい汗かいて爽快な気分」
「汗臭いと言われないよう気を付けたい」
「お化粧が崩れてしまう」
「汗をかいてさっぱりした」
こうした様ざまなイメージの中に、心地良い汗、不快な汗があることに気が付きます。
今回は、汗について考えてみましょう。
汗の役割
汗は、体温が上がりすぎないよう「気化熱」を放出して体温を下げるために出ているものです。「汗腺」と呼ばれる器官から出します。
夏の夕方、家の前などで打ち水をし、涼しさを求めることと同じ原理ですね。
汗は、血液中から血漿を取り出し、汗腺がろ過して体の外に出してくれます。血漿はもともと99%以上が水分なので、本来、汗はサラサラで匂いはしないものなのです。
汗をかくのは人間だけ?
全身で汗を多くかく動物は、ヒトとウマと言われています。犬や猫、ウサギは足裏からしか汗をかけません。
ヒトやウマは汗をかけるよう進化をしたことで、長時間の運動が可能になりました。
汗には「良い汗」と「悪い汗」がある
良い汗は、
・サラサラしている
・においがない
・蒸発しやすい
・保湿効果
・粒が細かい
・かくとすっきり、爽快感
一方、悪い汗は、
・ベトベトする
・におう
・蒸発しにくい
・粒が大きい
・かくとグッタリ、不快感
なぜ、悪い汗が出るのでしょう?
汗腺の「ろ過機能」が低下すると、血漿の中に含まれるミネラル成分が一緒に汗として出てしまい、濃度の濃い汗がでるようになります。この濃い汗が、においやべたつきの原因となります。
現代は昔と違い、エアコンが進化したために本来汗をかく季節であるにもかかわらず、その機会が失われがちです。また、新型コロナ感染症などの影響で外に出る機会が減ってしまったり、運動習慣が失われたりと、汗をかく習慣が減少することで、汗腺が使われず機能低下を引き起こしてしまうことがあります。
ろ過機能が低下することで、身体にとって大切なミネラル成分が汗をかくたびに失われるため、疲労感が増え、夏バテを誘引したり、折角汗をかいても、濃い汗はすぐに蒸発しづらいため、冷却装置として働かず熱中症を招く結果にもつながります。
良い汗をかくにはどうしたらいいのでしょう
汗腺の「ろ過機能」を働かせること。
良い汗をかくためには、あなたがどのように毎日を過ごしているか、汗腺の働きを高める生活習慣が大切になります。
汗をかきにくい、べたつく、においがある、汗をかくと疲れると感じている方は、汗腺機能を回復させましょう。
サラサラの汗をかく習慣を作りのヒント
1.入浴
手足の高温浴や温湯の半身浴、今流行のサウナなどを活用します。ご自宅では、シャワーですまさず、湯船にお湯を溜め、ゆっくり汗をかく入浴がお勧めです。入浴の前後には水分補給を忘れずに。温湯の入浴は副交感神経を高めますので、リラクセーション効果もあります。
2.運動習慣
ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動を取り入れます。熱中症に気を付け、気温が下がった時間を選びましょう。こまめな水分の補給をして行います。
3.呼吸法を取り入れる
運動は苦手、お風呂もシャワーしかない方もおられるかも知れません。腹式呼吸を意識し、体に酸素を取り入れましょう。仕事中も姿勢を良くし、しっかり吐いて吸う習慣をつけましょう。マインドフルネスなどの呼吸法は、リラクセーション効果も期待できます。
4.部屋の温度は下げすぎない
冷房の設定温度に気を付けます。男性の多い職場では、冷房の設定温度が低く、女性にはつらいことがあります。服装やひざ掛けなどで冷えすぎないよう工夫しましょう。
5.食事に気を配る
低脂肪で、植物性の食品を中心に規則正しく摂りましょう。また臭いの強い食品は摂りすぎると汗に臭いが移ることがあります。摂りすぎには注意しましょう。
腸内を健康に保ち悪臭を防ぐ善玉菌を増やすためには、食物繊維を多く含む食品(豆類・こんにゃく・海藻など)を積極的に食べましょう。
上記の5つのヒントから、ご自身にあった「汗をかく習慣」を心がけ、よい汗をかいて夏を乗り切りましょう。
筆者:産業カウンセラー 公認心理師
参考:
環境省「熱中症の予防方法と対処方法」
https://www.wbgt.env.go.jp/
厚生労働省:職場における熱中症対策マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000636115.pdf
健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-shougai/undou-ase.html