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厚生労働省は、11月8日に「令和2年度 転職者実態調査の概況」を公表!

2021/11/22
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転職者の割合について

厚生労働省は、2021年11月8日に「令和2年度 転職者実態調査の概況」を公表しました。

事業所調査によると、令和2年10月1日現在で「一般労働者がいる事業所」のうち「転職者(中途採用者)がいる事業所」割合は33%、「雇用期間の定めなし転職者がいる事業所」は28.9%でした。
産業別にみると、「運輸業、郵便業」が44.2%と最も多く、次いで「鉱業、採石業、砂利採取業」「学術研究、専門・技術サービス業」の順でした。また事業規模が大きくなるほど「転職者がいる事業所」割合が高くなる傾向があります。
新型コロナ感染症の拡大による外出自粛により、運輸、郵便業は巣ごもり需要が大幅に拡大し、人員増員等の影響がでたことが窺えます。

在籍する一般労働者に対する転職者割合は、7.2%であり、産業別にみると「サービス業」が11.1%と最も高く、次いで「宿泊業、飲食サービス業」が10.0%です。事業所規模別では、規模が小さいほど転職者割合が高く、転職経験者の多い傾向がありました。

事業所の採用事情 ~即戦力が採用理由の1番~

事業所が転職者を採用する理由については、「管理的な仕事」「専門技術的な仕事」の分野では、「経験を活かし即戦力になる」が60%以上と最も高く、次いで「専門知識・能力があるから」でした。
特に「専門的・技術的な仕事」の事業所規模1,000人以上では、「専門知識・能力があるから」が85.9%、「経験を活かし即戦力になるから」85.2%と8割を超えています。

一方、「事務的な仕事」「サービスの仕事」「保安、生産工程、輸送・機械運転、建設・採掘、運搬・清掃・包装等、その他の仕事」では、「離職者の補充のため」が最も多く、離職による人手不足が深刻であることが分かります。「販売の仕事」では、「経験を活かし即戦力になるから」が最も高くなりました。

転職が当たり前の時代になり、「転職者を採用する予定がある」事業所については、「転職者を優先」が35.7%であり、「新規学卒者を優先したい」が12.3%という結果でした。

事業所が抱える採用時の問題 
~やはり医療・福祉現場に負担増傾向~

事業所が抱える採用の際の問題については、「必要な職種に応募してくる人が少ない」が67.2%と最も多く、次いで「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」38.8%、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」32.3%でした。
産業別の特徴として、新型コロナ感染症の拡大による影響を受けた「医療・福祉」分野では「必要な職種に応募してくる人が少ない」78.7%で最も高い数値であり、人手不足や採用に苦労していた様子がわかります。

離職理由と入社理由 ~仕事内容、労働条件が上位~

個人調査結果によると、転職者が直前の勤務先を離職した主な理由は「自己都合」が76.6%でした。
「自己都合」による離職理由として、「賃金以外の労働条件が良くなかった」が28.2%で最も高く、次いで「満足のいく仕事内容でなかった」「賃金が低かった」でした。
男性は「満足のいく仕事内容でなかったから」が28.4%、女性は「賃金以外の労働条件が良くなかったから」が28.1%と、それぞれ最も高い結果でした。

転職者が直前の勤務先を辞め、現在の勤務先に就職するまでの期間は「1か月未満」が27.6%、「離職期間なし」26.1%「1か月以上2か月未満」が13.3%であり、比較的短時間で次の勤務先に転職をしていることが分かります。

転職者が次の勤務先を選んだ理由として、「仕事の内容・職種に満足が行く」が41%で高く、次いで「自分の技能・能力が活かせる」「賃金以外の労働条件がよいから」でした。
つまり、この調査結果から、転職前の職場においては、仕事の内容に不満を感じ、技能や能力が活かせていなかったと感じている人が多いことが読み解けます。
事業所は、離職予防の対策として、こうした離職理由を早めに察知し、業務内容の改善、希望の聴き取りをしていくことで優秀な人材の流出を防ぐことができるのではないでしょうか。

さらに転職後の今後の転職希望をみると「今の職場で今後も働きたい」が52.7%、「わからない」24.9%、「機会があれば転職したい」21%となりました。
「機会があれば転職したい」を年齢階級別にみると、「15-19歳」が37.5%、「30~34歳」25.7%、「40~44歳」26.6%、「50~54歳」25.5%と他の年齢階級に比べて高くなっており、30代以降はそれぞれの年代の前半で「機会があれば転職したい」と考える傾向があるようです。

定着率向上のために

転職者を受け入れた際に「教育訓練を実施」する事業所は74.5%であり、教育訓練の種類は、「計画的なOJT」79.4%、「OFF-JT」では、「入職時のガイダンス」46.6%「職務遂行に必要な能力・知識を付与する教育訓練」34.5%でした。

転職者採用の理由が、既存事業の拡大、新規事業への進出、新技術の導入・開発、組織の活性化、など前向きな理由ではなく、人員構成の歪みの是正つまり、離職者の補充であると、採用コスト以外に人財流失によるコストもかかることになります。
人財流失による企業の損失は、
1.コスト面:退職者が出た際のコストは採用コストを上回る など
2.仕事面:引き継いだ社員の負荷、生産性への影響 など
3.周囲の社員への影響:モチベーション低下 など
と影響は多岐にわたります。

今回公表された最新の調査結果から、リテンション施策としては
1.入社前の職務説明を詳細かつ具体的に行い、期待を不要に高めないこと
2.雇用条件を丁寧に説明し、労働時間や休日、休暇の取得について同意を得る
3.フレックスタイム制や在宅勤務など職種に合わせた多様な働き方をサポート
4.社内コミュニケーションの活性化を図り、上司の育成、人的サポート体制を確立する。特に在宅勤務を導入している企業においては、孤立・孤独予防対策を構じる、1オン1ミーティング(アクティブリスニング)、メンター制度、不要不急の雑談の機会、など
5.能力開発、教育制度を取り入れ、モチベーションの維持をサポート
などが挙げられるでしょう。

2019年には転職者数が過去最多を記録するなど、従業員の離職・転職や企業においての中途採用は当たり前に行われるようになっています。
企業としては、研修の実施や職場改善など、優秀な人材の流出を防ぐための積極的な取り組みが必要と言えるでしょう。

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筆者:産業カウンセラー
2021/11

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