両立支援

女性の社会進出と子育て

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新型コロナ感染症の拡大で女性のストレス、離職率が増加傾向にあります。
行政、企業、家庭、ご自身でできることを考えてみましょう。

女性の社会進出について
男女共同参画白書平成30年版によると、昭和55年以降,夫婦共に雇用者の共働き世帯は年々増加し、平成9年以降は共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回りました。(I-3-4図)

この背景には、性別役割分担意識の変化があります。
1.「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方(性別役割分担意識)に反対する者の割合(「反対」+「どちらかといえば反対」)は男女とも長期的に増加傾向にあり、かつ、平成28年の調査では男女ともに反対の割合が賛成の割合(「賛成」+「どちらかといえば賛成」)を上回ったこと。

2.女性の大学進学率が長期的に上昇傾向にあり、社会進出を希望する女性が増加し、企業も女性採用に対して積極的になったことで雇用の形態が変化したことが挙げられます。

平成29年度の学校種類別の男女の進学率を見ると,高等学校等及び専修学校(専門課程)への進学率は女子の方が高く、大学(学部)への進学率は女子49.1%、男子55.9%と男子の方が6.8%ポイント上回りますが、女子は全体の8.6%が短期大学(本科)へ進学しており、これを合わせると女子の大学等進学率は57.7%でした。

こうして女性の社会進出が様々な要因で後押しされ、女性活躍の場も広がったことで、男女の就業率にも大きな変化が起きました。

 

男女の就業者数及び就業率
我が国の就業者数は、平成29年には女性2,859万人、男性3,672万人
男女別に就業者数の増減を見ると、生産年齢人口(15~64歳)の男性は20年以降減少が続いていますが、生産年齢人口の女性は25年以降増加しています
生産年齢人口の就業率は近年男女とも上昇していますが、特に女性の上昇が著しく、平成29年には15~64歳で67.4%,25~44歳で74.3%となりました(I-2-1図)。

ところが、新型コロナ感染症で状況は大きく変化しています。
・内閣府の調査によると、就業者数は、男女とも2020年4月に大幅に減少。特に女性の減少幅が大きくなりました。(男性39万人、女性70万人減)
雇用者数についても、男女とも2020年4月に大幅に減少し、特に女性の減少幅が大きくなっています。(男性35万人、女性74万人減)

女性の就業者数、雇用者数の大幅な減少の要因として、新型コロナ感染症の影響を強く受けた職種での就業者が多かったことや、パートタイム等の非正規雇用の従事者が多かったことが挙げられます。
また、子育ての両立をしている者にとっては、保育所の自粛や休園、放課後児童クラブの自粛や休園も影響しました。

産業別の就業者数の増減については、男女とも「飲食業」「製造業」の減少幅が大きい。女性で見ると、「飲食」「製造」「小売り」「生活、娯楽」「宿泊」の分野で減少幅が大きい一方で、エッセンシャルワーカーと呼ばれる職種では増加となりました。

女性が継続して働くために
出産後の仕事と子育ての両立には、夫の協力なくしては成り立ちません。
平成28年における6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連に費やす時間(1日当たり)は83分であり、ほかの先進国と比較して低水準にとどまっています(I-3-8図)

平成28年度における男性の育児休業取得率は、民間企業が3.16%、国家公務員が8.2%、地方公務員が3.6%で、女性と比較すると依然として低水準です。配偶者出産休暇取得率は国家公務員が77.5%、地方公務員71.6%であり、男性の育児参加のための休暇取得率は、国家公務員が56.9%、地方公務員が32.9%でした。

こうした背景から、2021年6月に改正育児・介護休業法が成立しました。今回の法改正で、「出生時育児休業」が定められ、男性が子の出生後8週のうちに最大4週間の育児休業が取得できる制度の新設、令和4年10月頃の施行が想定されています。制度化されたことで、これまで心理的に申請がし難かった休暇も取得しやすくなるでしょう。
けれども、休暇制度は期間が限定されており、長い子育て期間を考えると、男性の育児参加、家事の公平な分担が望まれます。そのためには、社会全体で子育てを応援する風土の醸成、働き方改革、そして、必要な時に入所が可能な保育所の確保、放課後児童クラブの充実が強く求められています。

企業には、働き方改革で多様化する人材への対応が求められますが、子育て世代をサポートするフレックスタイム制、時短勤務、有休の取得のしやすさ、在宅とテレワークのハイブリッド型勤務形態の導入、アンコンシャス・バイヤス(無意識の偏見)に対する教育など、人材流出を予防する施策が求められます。

セルフケア
女性の社会進出、子育てとの両立には未だ多くの課題があります。日々のストレスを軽減するためには、
♡ヘルスリテラシーを強化:相談先をリストアップし、情報を収集し、ひとりで抱えず相談する。
♡白黒思考をやめる:完璧を目指さず、戦略としての「手抜き」を実施する
♡承認する:自分をねぎらい、褒める習慣を持つ
♡感謝の気持ちを忘れない
♡3つのR:リラクセーション、レスト、リフレッシュを大切に!
を心掛けましょう。

参考:男女共同参画白書30年度版
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/zentai/index.html
コロナ下の女性への影響について 内閣府男女共同参画局 令和3.8
https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/covid-19/siryo/pdf/eikyo.pdf

セーフティネットは働く女性、仕事と育児の両立を応援しています。

 

筆者:産業カウンセラー
2021/11

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