8月26日に『弁護士、弊社カウンセラーによるハラスメントセミナー』を、開催いたしました。
当日アンケート
【本日のセミナーは参考になりましたか】
【メンタルヘルス対策は貴社においてどの程度重要な課題だと思われますか】
【ご参加者様の感想】
・実際に事案が起きた時に被害者のフォローはしていたが、行為者へのフォロー(ハラスメントの背景要因の分析)は足りていなかったと改めて気づきました。
・自分が感じていることだけではなく、相手がどう思うかによってハラスメントが成立することがあることを十分に理解しておかなければならないことを改めて理解することができた。
・事例のケースは、弊社ではまだない事柄がほとんどでした。ですが、職場環境を整えることや、事前にこういった事例があることを管理職・相談担当者が知っておくことで、実際に起こった時に冷静に対応できるのではないかと思います。
セミナーの一部をご紹介
日頃、弊社相談室に寄せられる人事部、ハラスメントご担当者の悩みに答える形で具体的なケースを基にセミナーを実施しました。
ポイントの一部をご紹介します!
●ポイント:
「ハラスメントの認定作業について、ハラスメント委員会で調査・審議を行う際、事実認定のやり方などにつまづいてしまったら。」
弁護士の視点から
被害者と行為者の言い分が食い違う場合のポイントとして、
・客観的な証拠や証言があるか
・どちらの供述が信用できるか
・裁判例をもとに考える
難しい認定作業もあることから、
・外部リソースの活用、弁護士等による担当者の養成なども考える
カウンセラーの視点から
聴き取る際の留意点として、
・双方の言い分、言い訳を中立的で公平な態度でしっかり聴くことの重要性
・事実確認、傾聴の2本柱で聴く態度が肝心
・調査が完了するまでは、行為者ではなく対象者。犯人扱いしない
・被害者だけではなく、行為者のメンタルヘルスも大切に
●ポイント:
「ハラスメント行為によりメンタル不調が発生した際、病名や診断名はどこまで共有できるのでしょう。」
弁護士の視点から
・個人情報保護法では、社内共有に法的な制限はナシだが、労働安全衛生法の「健康情報の取扱い」ルールに注意
理想的なモデル
① 産業保健スタッフ(産業医が筆頭)がデータを一元管理
② 目的に合わせて適宜情報を加工
③ 限定された範囲に情報提供
プライバシー(権)の配慮=本人から同意を得るのがベスト
カウンセラーの視点から
休職者に対するフォローと手当
・情報開示の範囲については本人の同意を確認した上で行う
・メンタル不調の手当てについては、主治医の指示を確認し、診断書に従うことが大原則
・担当者が二次被害の加害者にならないよう、言葉遣いや態度に留意する
●ポイント:
「家族が介入してきたときには、どこまでの対応を範囲としたらいいでしょう」
弁護士の視点から
・「外野の本人化」には注意を要する
=家族の熱量に負けて振り回されないことが肝心
・雇用契約上、労働者と家族は「別人格」
・緊急連絡以外は、家族の介入を認めないのが原則
カウンセラーの視点から
・家族の思いは受け止めつつも、当事者が誰なのかを忘れない
・ルールの説明、書面でのやり取りを大切に
・担当者が一人で判断することの無いよう、組織で対応する
・窓口担当者が疲弊しない体制作り
●ポイント:
「ハラスメント防止対策のターゲットはどこに置くべきでしょうか。」
弁護士からの助言
「不法行為・刑法犯に相当するもの」「懲戒対象とすべきもの」はもちろんであるが、「組織人として不適切なもの」に対してしっかり対策を取ることが大切
●ポイント:
「ハラスメントの新たな法的リスクとは?」
弁護士からの助言
①加害者の個人責任、②使用者の責任(職場環境配慮義務)があるとされてきたが、新たに、③取締役の個人責任まで問われるようになり、ハラスメントはもはや「経営(者)の問題」となる
企業としては今まで以上に丁寧で適切な対応が求められる
●ポイント:
「ハラスメント加害者にはタイプがある。タイプを見極めた対策やケアが大切」
弁護士からの助言
・行為者になる人には、環境、教育、過去の経験、思考性など様々な要因がある
「被害者タイプ」「信念タイプ」「精神疾患タイプ」「いじめタイプ」など理解し、処分を決定する際に何が適切な判断かを考える
上記以外にも、事例から様々なポイントを学ぶ内容になりました。
次回のセミナー開催は、12月を予定しております。
ケースで学びたいと思われているご担当者さま、ハラスメント対策を予定されている企業の人事部、他社事例から学びたい方、ぜひご参加ください。
筆者:産業カウンセラー 2021/8