厚生労働省は毎年9月10日から16日を「自殺予防週間」と定め、自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施しています。
厚生労働省の自殺予防の取り組み
自殺者数の増加は深刻
昨年の自殺者数は、前年度を874人上回り、特に小中高生の自殺者数が過去最多となりました。また、成人についても男性50代を中心に13年ぶりの増加(14,746人)となっています。
こうした深刻な状況に対し、自殺予防週間では、電話やSNSによる相談支援体制の拡充や、主にこども・若者に向けて、ポスターや動画による相談の呼びかけなど集中的な啓発活動を実施するとしています。
(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001139342.pdf)
関係省庁の主な取り組みの概要
①相談事業の拡充
・こころの健康相談統一ダイヤルを自治体13か所に拡充
・民間団体によるSNS/電話相談事業の拡充
②自殺防止に向けた啓発活動
・全国での広報ポスターの提示
・インターネットを活用した広報
・関係省庁、自治体、関係団体による広報・啓発活動の実施
セーフティネットの取り組み
弊社設立の理念
「誰も自殺に追い込まれることがないように」という理念の下、弊社は2001年に設立しました。設立以来20年以上に亘り、どの様な相談もお受けできるよう、心理の専門家による「何でも相談」の窓口を24時間、年間を通じてご提供しています。
「つながり」を大切に
電話相談センターは、いつでも直接カウンセラーと対話が可能です。つながりを求めてご相談くださった相談者様の「話したい」「聴いてもらいたい」お気持ちを削ぐことのないよう、心理の専門家が待機しています。
「一人で抱えない」持ちきれなくなる前にご相談を
たとえ些細なことと思われる事柄でも、「モヤモヤ」「ざわざわ」した気分になることがあります。こうした気分を抱え込んでしまうと脳は疲れてしまいます。
「こんなこと、人に話しても分かってもらえないのでは?」と決めつけてしまう前に、まずは、つながりを信じて話をしてみましょう。
話すことは、手放すチカラ、離すチカラを高めることがあります。
自分以外の人の知恵を借りたり、助けを求めることは、生きる上での戦略の一つであり、レジリエンスを高めてくれるでしょう。
身近な方の変化に気が付いたら
周囲が気が付くサイン
□ 以前と比べて表情が暗く、元気や覇気が低下している
□ 不定愁訴、体調不良の訴えや発言が増える
□ 仕事の生産性が低下したりミスが増える、家事を疎かにするようなことが増え、能力が低下している
□ 周囲との交流を避けたり、話に参加しない
□ 遅刻、早退、欠勤(欠席)が増える
□ 飲酒量や喫煙量が増えたり、トイレなどの離席が多くなる
サインに気が付いたら
□ まずは優しく声を掛けましょう
□ 落ち着いて話せる環境を作りましょう
□ せかさず、相手のペースに合わせて、ゆっくりと話を聞きましょう
□ 支援が必要と思われた場合は、関係各所につないでいきましょう
(産業保健スタッフ、専門家、自治体の窓口、医療など)
2006年に自殺対策基本法が施行されて以来、自殺は個人の問題として捉えるのではなく、社会で取り組むべき問題として認識されるようになりました。
「誰も自殺で追い込まれることのない社会」を実現するためには、普段から「挨拶」「声掛け」「目的のない雑談」など、基本的な関係性の構築が大切です。
「思いやり行動」「感謝を伝える」など信頼関係を醸成する取り組みを意識し、豊かな人間関係を育てていただければと思います。
筆者:産業カウンセラー、公認心理師