内閣府「男女共同参画白書」が公表になりました。
白書では、男女共同参画が進まない理由について、家族の姿が変化しているにもかかわらず、さまざまな政策や制度が昭和時代から変わっていないと指摘しています。
今回の調査で、あらゆる分野における女性の参画が増加したことが分かった一方で、男女間所定内給与の格差は依然としてあり、また、女性の役員についても、日本は諸外国と比べて低い給与水準となっていることが明確になりました。男女の地位の平等感についても、男女ともに男性が優遇されていると感じているとする者の割合が高いことが分かりました。(一部抜粋して掲載)
男女間の賃金格差や働き方等の慣行は依然として昭和時代のまま
【民間企業の雇用者の各役職段階に占める女性の割合の推移】
○常用労働者100人以上を雇用する企業の労働者のうち役職者に占める女性の割合を役職別に見ると、上位の役職ほど女性の割合が低く、令和3(2021)年は、係長級20.7%、課長級12.4%、部長級7.7%。
【男女間所定内給与格差の推移】
○一般労働者における男女の所定内給与の格差は、長期的に見ると縮小傾向にあるが、依然として大きい。
○令和3(2021)年の男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は75.2で、前年に比べ0.9ポイント増加。
○また、一般労働者のうち、正社員・正職員の男女の所定内給与額を見ると、男性の給与水準を100としたときの女性の給与水準は77.6となり、前年に比べ0.8ポイント増加。
【日本の社会全体における男女の地位の平等感(令和元(2019)年)】
○男女の地位は平等になっていると思うか聞いたところ、「平等」と答えた者の割合が21.2%、「男性の方が優遇されている」とする者の割合が74.1%。
男女ともに「女性がずっと働き続ける方がよい」が6割以上に増加
【女性が職業を持つことに対する意識の変化】
○「子供が大きくなったら再び職業をもつ方がよい」の割合は男女とも低下。
○「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」の割合は男女とも上昇しており、令和元 (2019)年調査では、男女ともに6割前後まで上昇。
2000年代以降は共働き世帯が増加し、無業の女性は減少傾向にある
【共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移】
○雇用者の共働き世帯は増加傾向。
○男性雇用者と無業の妻から成る世帯(いわゆるサラリーマンの夫と専業主婦の世帯)は減少傾向。妻が64歳以下の世帯について見ると、令和3(2021)年では、専業主婦世帯は夫婦 のいる世帯全体の23.1%。
出産後の女性の職場復帰を可能にするためには、配偶者の支援、保育の支援、職場の支援、地域の支援が求められます。男性は育児休暇を取得することで、子育て分担が可能になりますが、まだまだ民間企業では取得率が低いことが現状です。
【男性の育児休業取得率の推移】
○近年、男性の育児休業取得率は上昇しており、令和2(2020)年度では、民間企業が 12.65%、国家公務員が29.0%(一般職51.4%)、地方公務員が13.2%。
保育、放課後児童クラブに関する待機児童の割合は減少傾向にあるものの、全ての児童が受け入れられる状況には至っていない現実があります。
【保育の申込者数、待機児童数の状況】
○令和3(2021)年4月1日時点の待機児童数は5,634人で、前年に比べ6,805人減少。 待機児童数は、4年連続で最少となった。
○平成29(2017)年の26,081人から4年間で20,447人減少し、約5分の1になった。
今回の「男女共同参画白書」では、結婚や家族の在り方が多様化していることが明らかになり、今後は、男女の賃金格差の解消など幅広い分野で制度や政策を点検し、見直していく必要があると指摘しています