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2022年2月25日 厚労省が「カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル」を公表しました!

2022/03/01

厚生労働省は、関係省庁と連携の上、顧客等からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)の防止対策の一環として、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」や、マニュアルの概要版であるリーフレット、周知・啓発ポスターを作成いたしました。

厚労省が令和2年に行った実態調査では、全国の企業・団体に勤務する20-64歳の男女労働者のうち、過去3年間に勤務先で顧客等からの著しい迷惑行為を一度以上経験した者の割合は、15.0%でパワハラ31.3%より低いものの、セクハラより割合が高いという結果です。
受けた行為の内容としては「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム(過度なもの)」が52.0%と最も多く「名誉棄損・侮辱・ひどい暴言」が46.9%と続いています。

◆パワーハラスメント防止に関する指針におけるカスタマーハラスメントの取り組みについて

事業主は、雇用する労働者の就業環境が害されないよう、相談対応体制や被害者への配慮のための取り組み、ハラスメント等防止のための取り組みを行うことを望ましいとしています。

1.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
2.被害者への配慮のための取り組み(被害者のメンタルヘルス不調への相談対応、著しい迷惑行為を行ったものに対する対応が必要な場合に一人で対応させない等の取り組み)
3.他の事業主が雇用する労働者からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為による被害を防止するための取り組み(マニュアルの作成、研修の実施等、業種・業態に応じた取り組み)

 

◆カスタマーハラスメントとは

「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって当該手段・態様により、労働者の環境が害されるもの」

 

◆カスタマーハラスメントの判断基準

厚労省は、企業、業界において様々な判断基準があるとしながら、一つの尺度として

1.顧客の要求内容に妥当性はあるか
顧客の主張について、先ずは事実関係、因果関係を確認し、自社に過失がないか、根拠のある要求がなされているかを確認し、顧客等の主張が妥当かを判断

2.要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当か

顧客等の要求内容の妥当性の確認と併せて、その要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲であるかを確認

例)長時間に及ぶクレームは、業務遂行に支障が生じるという点から社会通念相当性を欠く場合が多い。
また、妥当性がない場合はもとより、妥当性がある場合であっても、その言動が暴力的・威圧的・継続的・拘束的・差別的・性的である場合は、社会通念上不相当であると考えられ、カスタマーハラスメントに該当します。
一方で、顧客等の要求内容に妥当性がないと考えられる場合でも、企業が顧客の要求を拒否した際すぐに顧客が要求を取り下げた場合は、従業員の就業環境を害されたとは言えず、カスタマーハラスメントには該当しない場合もある
としています。

なお、殴る・蹴るといった暴力行為は、直ちにカスタマーハラスメントに該当すると判断できることはもとより、犯罪行為に該当しうるものです。

◆カスタマーハラスメント対策の基本的枠組み

今回、厚労省が作成した企業マニュアルには、企業が取り組むべき基本的な枠組みが示されています。ポイントをご紹介します。

事前準備
①事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
②従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
③対応方法、手順の策定
④社内対応ルールの従業員への教育・研修

実際に起こった際の対応
⑤事実関係の正確な確認と事案への対応
⑥従業員への配慮の措置
⑦再発防止のための取り組み
⑧①~⑦までの措置と併せて講ずべき措置

カスタマーハラスメント対策は、「従業員を守る」企業側の姿勢を示すことであり、従業員が安心して業務に取り組める環境つくりです。
被害に遭った従業員が一人で抱えることのないよう、管理監督者はもとより、職場全体で被害を防止する対策は重要です。
職場環境が良くなることで、離職者を減らすことにも繫がります。

 

弊社では、ハラスメント全般に関する対策つくり、ご相談をお受けしています。
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筆者:産業カウンセラー 公認心理士

参考:厚生労働省
カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000899234.pdf

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